平成21年10月29日木曜日

大野一雄103歳誕生日会

今週火曜日、大野一雄先生の103歳を祝う集いが横浜のお稽古場で開かれました。約60人の人が集まりました。
ここでの集いは毎回誰かの即興芸術が披露され、奇跡に満ちた空間を堪能させてもらいます。

大野義人先生による乾杯に続いて、一雄先生の故郷である北海道からわざわざこのためにやってきたクラリネットとオーボエ奏者の夫婦による演奏。
そのあとは、琴の演奏。
途中、隣の自宅で休む一雄先生に挨拶に行く。耳は聞こえるけどもうお話はしません。私が話しかけると閉じた目をかすかにまばたきするように動かしながら聞いていました。彼を見ているといつもなんとも静かで優しい気持ちがわきあがります。そしてその生命力と美しさに圧倒されます。
空間をともにした短い時間のあと、家を出るとき、なぜか自分の動きがいつもより落ち着いて丁寧になっているのに気づく。一歩一歩の足取り、一足ずつの靴の履き方も、ドアを開ける仕草もいつもより丁寧で心がこもっている。きっと一雄先生の舞踏シャクティを知らずのうちに受け取ったのでしょう。

パーティ後半になるといつも誰かが踊り始めます。研究生数名が踊り、みんな素晴らしかったです。



特に普段一雄先生の介護をしている人たちの踊りがパワフルだと感じました。日常の自我のない奉仕が、踊りに力を与えるのだろうと思いました。舞踏は、我を捨てることが大事な要素でもあるから。

そして義人先生先生の踊り。


土方巽のかたちと大野和雄のこころを踊ります、と先生。土方巽振り付けの踊りと大野一雄指人形を披露してくれました。
私の向かいにいた女性は、驚きと感動で開いた口を押さえ、泣いていました。感動して涙する人が何人もいました。私もその一人。こんなに泣いたの久しぶりだ。魂にふれる芸術に、深い感謝の念が生まれました。

最後は生け花パフォーマンス。若手の生け花師が義人先生に花を生けました。誰もが息をのんで見守るおもしろいパフォーマンスでした。口に鐘をくわえさせられ、花を襟足に差し込まれ、されるがままの先生。芸術に対するどこまでも協力的な態度に頭が下がりました。

ケーキを運ぶ姿も、本当に全身全霊です。舞踏、捧げる芸術になっています。

一雄先生、103歳のお誕生日おめでとう!!素晴らしい夜をありがとうございました。

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