平成21年8月25日火曜日

百匹の水牛


写真は、インド、ヴァラナシのガンジス河で沐浴する水牛達。

先週からの風邪、咳にきました。声は枯れたまま、乾いた咳が続くつらい状況です。歌うこともままならず、本を読んでいることが多いです。

先日亡くなったサロードの巨匠、Ali Akbar Khan監修の『Classical Music of North India』という本を呼んでいました。

そして、私が現在インドで学んでいる声楽、ドゥルパドについて書かれた部分へ。

"He who has the strength of one hundred water baffaloes, let him sing dhrupad" -Traditional Saying

“百匹の水牛の力を持つ者に、ドゥルパドを歌わせよう” というのが、昔からの言われであるとのこと。
すんごい力だなあ。。。う〜ん、風邪の治りきっていない今の私に歌える訳がない。。。早く練習に復帰できることを願うばかり。

そういえば、とヴァラナシで水牛に追いかけられたことを思い出す。夜、ガンジス河沿いを友人と歩いていたら、後ろを歩いていた水牛が、突然全速力でこっちに向かって走ってきた!え〜っ!!!こっちも全速力で逃げるしかない。とにかく一心不乱で走り、途中見つけた小さなお寺の脇へ入る。息を切らせながら、おそるおそる水牛のほうを見ると、やつは、そのまま直線で走り去って行った。。。

これも今となっては笑い話ですが。

あと、たまにインドで水牛同士の喧嘩を見ました。私がいつも滞在するエリア、ヴァラナシのアッシィでの喧嘩はすごかった。
ある日、いつものように歌のレッスンから宿へと戻る途中、直径30メートルくらいの円形の観衆が取り囲む中、道路一帯が、牛対牛の闘牛場と化していました。どういう事情があってか知りませんが、本気で戦う真っ黒の2匹の水牛達。
頭突き、体当たりを繰り返し、路上に泊めてあるバイクなどはなぎ倒しにされ、車の上にも乗り上げちゃった り、もう誰も彼らを止めることはできません。いつどこに水牛達がなだれこんでくるかわからないので、見ている方も危険です。一部観衆は大興奮。でも、危険だし、血などもでていて見ていて辛いし、、、でも気が済むまで彼らは戦うしかないのでしょう、私はそっとその場を去りました。

と、水牛の思い出に浸る。
でも彼ら、いつもは、とーっても穏やかです。追いかけてくるなんて特にまれです。普段は怖がる必要など全くありません。

ドゥルパドに話を戻すとして、今年ドゥルパド歌手Uday Bhawarkarのコンサートに行きましたが、彼はほんとに凄かった!一つ一つの音の丁寧さ、美しさに加え、とんでもなく長い息!!!これは、百匹の水牛の力、なのかもしれない。あんなに長く音を伸ば せる人、初めて聴きました。その技を披露するたびに、観客からは、拍手歓声と、ワァ〜、、、という溜め息が漏れていました。そして彼は、常に仏陀のような微笑みを浮かべ、仏様のような、非常に上品な人でした。音楽も精神修業として極めると、こうなれるのかな。素晴らしい見本、目標です。

秋は、 サンギート・メーラの季節。サンギート・メーラは、年に一度、秋の満月の夜に岐阜で開催されるオールナイトのインド古典音楽と舞踊の祭典です。今年も行きます!とても充実した内容で、日本中の才能あるインド古典音楽家、舞踊家に加え、インドなど世界からもゲストが呼ばれます。今年は、10月3、4日。
南インド在住の私のドゥルパド最初のレッスンの先生、そして今のグルジを紹介してくれた、まりこさん(インド名Shree)も出演します。久しぶりに彼女の美しい歌声を聴けるのが楽しみです♪

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