平成21年8月12日水曜日

限界で咲く花

今日の舞踏のお稽古。ダンスレッスンを超えた、ライフレッスンです。

内を見る目。

空間に触れる。

変化する体。綿を引き延ばしながら感じる固い体、ふわっと綿がちぎれる時の柔らかい体。

満月を踊る。空間というキャンバスに描く大きな満月。
手の中に宇宙がある。体の中に全てがある。

手について。
指先に無意識ではいけない。遠い客席の観客まで届くようなまっすぐな指先。
実際に、高い木に向かって指を伸ばしてみる。実際に体で感覚を覚えてこそ、舞台の上での動きがリアルになる。
道端に咲く美しい花に出会ったら、立ち止まって愛でる。

手だけにスポットライトを当てられたつもりで、手で踊る。

もし今、全裸だったら?? 手は、どうよ!と前に出ず(一部例外を除いて♥)、体を隠すように内に向く。“秘すれば花” です。

手で薔薇の花を踊りました。腕から伸びる薔薇。腕は茎、手は花。

花と端。花は、先端に咲く。枝の先に咲く。手に咲く花も、頭頂に咲く花も。
端はエッジ、限界。自分の限界の踊りへ。

ピナ・バウシュという偉大なダンサーが今年亡くなりました。彼女と先生が抱擁している写真で、まるで彼女は、『もう、私、生きられない』って言っているみたい、と先生は言いました。まるで自分の死を知っているかのような悲しい表情をしていると。

世の中には、そういう淵、限界に立っている人が大勢いる。観客の中にそんな人がいたら?そんな人に届くような踊りをしてみなさい、と。皆、自分の身体の限界を踊りました。
こんな苦しそうな踊りのタイトルは?と聞かれたら、花ですって言うんです、と笑う先生。

無理な中腰姿勢をキープしすぎて、下半身がちょっとへんになった。でもこんなのたいしたことないんですね。私は幸せ者です。
そして、限界を踊ったあとは、ちっさな悩みなどを手放せた感じで、とてもスッキリ。

お稽古後、一雄先生に会ってきました。今日はたくさんの人が来たので、うれしそうに声をあげていました。
世界が愛した舞踏家。肉体は衰えても、魂は踊り続けています。
同じ歳(102歳)、同じ状態、顔もそっくり(!)な、自分の祖母に会いたくなりました。
面談後、玄関口で生徒一人一人に、『ありがとう』と言う慶人先生。

ここに来ると、人生は美しいってことを教えてもらいます。

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